外国人を採用する際、面接はミスマッチを防ぐためにとても大切なステップです。
在留資格や働ける条件などを事前に確認したうえで、相手の文化的な背景にも気を配りながら、その人の実力を正しく見きわめる質問を考える必要があります。

この記事では、外国人と面接するうえで知っておきたい準備のコツや質問の例、注意すべき点を紹介します。

外国人と面接する前に確認しておくこと

外国人採用では、応募者が自社で問題なく働ける条件を満たしているかどうかを、面接の前にしっかり確認しておくことが大切です。
とくに、在留資格の種類や働くうえでの制限、勤務できる時間、これまでの経歴と仕事内容の一致など、いくつか重要なポイントがあります。

在留資格と在留期間

ビザ申請書記入

まず確認したいのは、応募者がどの在留資格を持っているか、そしてその資格で希望する仕事ができるかどうかです。
在留資格によって働ける職種や業務内容は異なるため、面接の場では履歴書や職務経歴書、あるいは口頭で、以下のような点を確認しましょう。

  • 現在の在留資格の種類
  • その資格で自社の業務に就けるかどうか
  • 在留期限(日本にあとどのくらい滞在できるか)
  • 今後、資格の更新や変更が必要かどうか

なお、在留カードの提示を面接時に求めることは、公平な採用を守るうえで避けたほうがよいとされています。面接や書類選考では、あくまでも履歴書や本人の話から必要な情報を確認するようにしましょう。

主な在留資格の種類と特徴

在留資格の区分主な資格の種類就労の条件と特徴
就労系ビザ技術・人文知識・国際業務
特定技能
高度専門職
企業内転勤など
業務内容が限られ、職種と一致している必要がある
身分系ビザ永住者
日本人の配偶者等
永住者の配偶者等
定住者
原則として制限なく、日本人と同じ条件で働ける
制限付き資格留学(資格外活動許可あり)
家族滞在
特定活動(ワーキングホリデーなど)
基本的にフルタイム勤務はできず、週28時間以内などの制限がある

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勤務できる時間

在留資格によっては、働ける時間に制限がある場合もあります。
とくに「留学」や「家族滞在」などの資格で働く場合は、「資格外活動許可」が必要で、週28時間までに限られることが一般的です。

以下に、主な資格ごとの勤務条件を整理しました。

在留資格就労条件
留学資格外活動許可があれば、週28時間まで勤務可(長期休暇中は週40時間)
家族滞在資格外活動許可があれば、週28時間まで勤務可
特定活動(ワーキングホリデーなど)労働時間、雇用形態の取り決めなし
文化活動原則として就労不可。ただし一部で短時間の就労が認められることもある

また、複数のアルバイトをしている場合は、すべての勤務を合計して週の労働時間を超えていないかにも注意が必要です。
シフト希望や働ける曜日を事前に確認し、ルールの範囲内で働けるかどうかをチェックしておきましょう。

職務経歴と在留資格の関係

外国人が働くには、「どんな仕事ができるか」が在留資格で決められています。そのため、希望する仕事と現在の資格が合っていない場合は、在留資格の変更が必要になります。
変更審査では、過去の経験やスキルが新しい仕事内容とどの程度関連しているかが重視されるポイントです。

書類選考の段階で、次のような点をあらかじめ確認しておきましょう。

  • これまでの職歴や担当してきた仕事の内容
  • 持っている資格や日本語能力のレベル
  • 現在の在留資格と希望する職種の一致度
  • 資格の変更が必要な場合、入社までのスケジュール感

こうした情報を把握しておくことで、面接当日もスムーズに進められます。
会社としても、必要に応じて行政書士などの専門家に相談しながら、受付体制を整えておくと安心です。

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外国人と面接する際の注意点

面接官の手元の画像

外国人の応募者と面接する際には、文化の違いや言葉の壁、公正な採用を意識することが大切です。
こうした点をあらかじめ理解し、丁寧に対応することで、応募者とのやり取りがスムーズになりミスマッチを減らすことにもつながります。

文化の違いを理解し、配慮する

外国人の求職者は、日本のビジネスマナーに慣れていない場合があります。
たとえば、面接前にコートを脱ぐタイミングや、どこに座ればいいかなど、日本人なら自然にできることでも戸惑ってしまうことがあります。また、文化の違いから、面接を急にキャンセルしたり、連絡をせずに辞退するケースも見られます。

そのため、あらかじめ候補者の人数に余裕を持たせたり、前日にリマインドの連絡を入れておくと安心です。相手の行動を「マナーが悪い」と決めつけるのではなく、背景を理解しながら柔軟に対応していきましょう。

聞いてはいけないNG質問

面接では、国籍や宗教、家族構成など、仕事と直接関係のない個人情報を聞くことは避けるべきです。

たとえば、次のような質問はNGです。

  • 「どの宗教ですか?」
  • 「結婚の予定はありますか?」
  • 「どこの国の出身ですか?」

こうした内容ではなく「特定の曜日や時間に働けない理由はありますか?」「業務で使う日本語や英語に不安はありますか?」など、仕事に関係する範囲で確認するようにしましょう。

コンプライアンス(公正採用)を守る

外国人であっても、日本人と同じように、採用において性別・年齢・国籍・信条などを理由に不当な扱いをしてはいけません。
これは法律でも定められているルールです。

面接官には、厚生労働省が示している「公正な採用選考の基本的な考え方」を共有し、チェックリストや社内研修などを活用しながら無意識の偏見を防ぐことが求められます。

通訳や多言語で対応するときのコツ

通訳者を同席させる場合は、事前に質問内容を共有しておきましょう。面接は「短く話す→訳す」のリズムで進めるとスムーズです。

また、応募者が話しやすい雰囲気づくりも大切です。一次面接は母語で行い、最終面接は日本語でおこなうなど、段階を分けることでその人の人柄やスキルをより深く知ることができます。

オンライン面接を活用する場合

オンライン面接では、通信の不具合や時差の影響によるトラブルが起こることもあります。
スムーズに進めるためには、次のような準備が効果的です。

  • 事前に接続テストをしておく
  • 面接時間がひと目でわかるよう、時差表を添付する
  • 職場の雰囲気が伝わるように、画面共有で写真や資料を見せる

面接の流れを母語と日本語の両方でまとめたマニュアルなどを事前に共有しておくと、安心して参加してもらいやすくなります。

言語スキル(日本語・英語)の確認方法

面接では、日本語と英語、それぞれのスキルを確認しておくことが大切です。
とくに英語を使う仕事や外国人対応がある職場では、履歴書の記載だけで判断せず、実際の会話を通してレベルを見きわめましょう。

スキルの目安としては、以下のような指標があります。

試験名目安レベル説明
TOEIC700点以上海外とのやり取りや商談にも対応できる
英検準1級以上日常会話やビジネス文書を作成できる
JLPT(日本語能力試験)N2以上ビジネスで使う日本語も理解できる
JLPT(参考)N4基本的な日本語を理解できる(※特定技能1号の取得に必要なレベル)

英語が得意でも、日本語の理解が不十分だと、職場でのやり取りに支障が出る場合があります。そのため、短いロールプレイを取り入れて、実際の業務に近い会話ができるかを確認しておくとよいでしょう。

また、英語力が必要ない職種であれば、日本語スキルを中心に見ていくなど、職務内容に応じて評価の基準をあらかじめ決めておくことがポイントです。

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外国人の面接で使える質問7選

面接待ちの外国人の画像

面接の相手が外国人でも、基本的な質問の考え方は日本人と大きく変わりません。
ただし、文化や働く理由、日本での適応力には違いがあるため、それらをしっかり見きわめることがポイントです。

ここでは「異文化への適応力」「コミュニケーション力」「仕事に対する意欲や責任感」に注目し、実際の面接で役立つ質問例をご紹介します。

1. 異文化への適応力を見きわめる

日本ならではの職場文化にどれくらいなじめるかは、長く働き続けられるかどうかにも関わってきます。
礼儀や上下関係など、日本の価値観について理解があるか、また興味を持っているかを確認してみましょう。

質問例

  • 「日本で働くために、どんな準備をしていますか?」
  • 「日本の働き方について、驚いたことや印象に残っていることはありますか?」
  • 「これまでに文化の違いを感じた職場で、どんなふうに対応しましたか?」

2. コミュニケーション力と協調性を探る

日本の職場では、言葉そのものだけでなく、相手に合わせた伝え方やチーム内の気配りも大切にされます。
報告・連絡・相談をしっかりできるか、周囲と協力しながら働けるかを確認しましょう。

質問例

  • 「職場で人とやり取りするときに意識していることはありますか?」
  • 「これまでのチームで協力してうまくいった経験があれば教えてください」
  • 「言葉が通じにくい相手と仕事をしたことはありますか?そのとき、どんなふうに工夫しましたか?」

3. 日本語の実用レベルを確認する

日本語能力試験(JLPT)のスコアが履歴書に書かれていても、実際の会話力と一致しないこともあります。
面接中のやり取りを通して、話の意図をくみ取れるか、指示を理解できそうかをさりげなく見ておきましょう。

質問例

  • 「この求人票に書かれている仕事内容は、どこまで理解できましたか?」
  • 「日本語で働くうえで、不安に感じていることがあれば教えてください」

4. 英語力や多言語対応力を評価する

英語や母語を活かして働くことを期待する場合は、会話力や資格のスコアだけでなく、実際に使った経験も大切です。
実務の中で、どのように活かしてきたかを聞いてみましょう。

質問例

  • 「これまでに英語(または他の言語)を使って仕事をしたことはありますか?」
  • 「外国人のお客様や取引先とのやり取りで、工夫したことがあれば教えてください」

5. 仕事への責任感や熱意を確認する

やる気に満ちた外国人の画像

来日前からしっかり準備をしている外国人は、仕事に対する意識も高い傾向があります。
どれだけ意欲を持って取り組んできたかを、これまでの経験から引き出してみましょう。

質問例

  • 「これまでに一番力を入れて取り組んだ仕事は何ですか?」
  • 「とても大変だったけれど、最後までやりきった経験があれば教えてください」

6. 長く働きたい気持ちがあるかを見る

早期の退職を防ぐためには、将来のキャリアの考え方や、日本での生活のイメージについても確認しておくことが大切です。
どれくらい長く働くつもりかを聞いておくと、職場との相性も見えてきます。

質問例

  • 「日本では、どのくらい働き続けたいと考えていますか?」
  • 「将来的にチャレンジしてみたい仕事はありますか?」

7. 在留資格への理解があるかを確認する

働くための在留資格が合っているかどうかや、今後の更新・変更について、本人が理解しているかを面接で確認しておきましょう。
企業が支援をする前に、本人の考えを聞いておくと安心です。

質問例

  • 「今の在留資格で、この仕事を続けられるか、自分でも確認されていますか?」
  • 「次の更新や資格変更に向けて、何か準備していることはありますか?」

面接後にしておくべきフォローとは?

面接後に挨拶を交わす画像

面接後は、結果を伝えるまでのあいだに必要なフォローを行うことで、内定辞退やミスマッチを防ぎやすくなります。
とくに外国人の場合、在留資格や就労条件に不安を感じて辞退するケースもあるため、候補者が安心して判断できるよう、情報提供や不明点の確認を丁寧に進めましょう。

内定を出す前の段階でも、勤務条件や就労可否に関する認識をすり合わせておくことが大切です。

勤務条件の再確認とわかりやすい説明

勤務時間や休日、勤務地、仕事内容など、誤解が生じやすい点は、もう一度丁寧に説明しておきましょう。
もし日本語でのやりとりに不安があるようであれば、やさしい言葉を使った説明や、図などを使った資料を共有すると、より伝わりやすくなります。

参考:出入国在留管理庁 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン

在留資格の確認と必要な手続きの案内

内定を出したあと、在留資格の更新や変更が必要になることがあります。
そうした可能性や手続きの流れについて、早めに説明しておくと、応募者も安心して次のステップに進みやすくなります。

疑問や不安を聞くひとことを添える

「働くうえで、何か不安に感じていることはありますか?」と聞くだけでも、相手の気持ちはぐっとほぐれます。
住まいや通勤手段など、生活面についても親身に相談に乗ることで、信頼関係が生まれやすくなるでしょう。

さいごに

外国人を面接するときには、在留資格や文化の違いなど、事前に確認しておきたいポイントがいくつかあります。
はじめは日本人との違いに戸惑うかもしれませんが、面接のやり方を少し工夫するだけで、その人の実力や人柄をきちんと見きわめることができるようになります。

採用のチャンスを広げたい企業にとって、外国人材はとても心強い存在になり得ます。
まずは制度への理解を深めながら、ミスマッチを防ぐ面接の工夫から始めてみてはいかがでしょうか。

在留資格について、正しく理解できていますか?

面接をスムーズに進めるためには、在留資格ごとの働ける条件や注意点を、採用担当者自身が理解しておくことがとても大切です。

とはいえ「特定技能」や「留学生の資格外活動」など、制度ごとの違いをしっかり把握するのは簡単ではありません。
ガイダブルジョブズでは、「よくある在留資格の種類と働ける範囲」や「不法就労を防ぐためのポイント」などをまとめた資料を無料で配布しています。

これから外国人採用に取り組む方や、制度をきちんと理解したうえで面接を進めたいと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。

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