人手不足の解消や社内の活性化など、外国人採用には多くのメリットがあります。
ですが、日本人を採用するときとは少し違う手続きがあるため、戸惑ってしまう担当者様もおおいかもしれません。

そのなかでも絶対に忘れてはいけないのが、今回解説する「外国人雇用状況届出書」です。
名前だけ聞くと難しそうに感じることもありますが、ルールさえ分かってしまえば、決して複雑なものではありません。

この記事では、書類の書き方や提出期限、出さなかった場合の罰則リスクまで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

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目次

外国人雇用状況届出書とは? 何のために出すの?

「外国人雇用状況届出書」とは、その名の通り「外国人を雇ったとき」や「外国人が退職したとき」に、ハローワークへ提出する書類です。
これは法律(労働施策総合推進法)で決められたルールで、すべての事業主に提出義務があります。
国が「どこの会社で、どんな外国人が働いているか」を正しく把握し、外国人が日本で安心して働ける環境を守るための、大切な手続きです。

【一覧表】誰が・どの書類を・いつまでに?

「結局、どの書類をいつまでに出せばいいの?」と迷わないよう、まずは表で整理しました。
ポイントは「雇用保険に入るかどうか」と「雇い入れか離職か」の2点です。

雇用保険タイミング提出する書類提出期限
あり雇い入れ雇用保険被保険者資格取得届翌月の10日まで
あり離職雇用保険被保険者資格喪失届翌日から10日以内
なし雇い入れ外国人雇用状況届出書(第3号様式)翌月の末日まで
なし離職外国人雇用状況届出書(第3号様式)翌月の末日まで

このように、雇用保険に加入する場合は、いつもの保険手続きがこの届出を兼ねます。
一方で、週20時間未満のアルバイトなど、雇用保険に入らない場合は、専用の「第3号様式」を提出する必要があると覚えておきましょう。

提出が必要な4つの理由

「どうして、わざわざ届け出ないといけないの?」と感じる方もいるかもしれません。
この届出には、大きく分けて4つの目的があります。

  1. 労働環境を改善するため
    届出をもとに、国が企業へ助言や指導を行い、外国人が不当な扱いを受けないよう環境を整えています。
  2. 外国人労働者の不法就労を防ぐため
    「実は働くことができないビザだった」というトラブルを防ぐため、雇う時点で在留資格を確認する意味があります。
  3. 離職した外国人の再就職を支援するため
    仕事をやめた外国人が、次の仕事を見つけやすくなるよう、ハローワークの支援に活用されます。
  4. 受け入れ状況を把握するため
    日本全体で、どれくらいの外国人が働いているのかを把握し、国の施策を考えるための重要なデータになります。

参考:厚生労働省 外国人を雇用する事業主の皆さまへ:外国人雇用はルールを守って適正に

外国人雇用状況届出書の提出が必要な人・必要ない人

疑問だらけの男性のイラスト

ここからは、提出が必要なケースを整理します。
迷いがちな「アルバイト」「永住者」「派遣」についても、まとめて確認していきましょう。

アルバイト・正社員問わず、すべての事業主が対象

雇い方がアルバイトでも正社員でも、基本は「外国人を雇う会社側」が提出対象です。
「短時間だから出さなくていい」という扱いにはならないため、この点は注意が必要です。

「特別永住者」は対象外、しかし「永住者」は必要

日本に住んでいる外国人の中には、この届出が不要な人もいます。ここでよく混同されやすいのが、「永住者」「特別永住者」です。

  • 提出が必要:「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザ、「永住者」「定住者」などの身分系、アルバイトをする「留学」など ※次に記載する3種類のビザ以外の、ほぼすべての外国人
  • 提出が不要:「特別永住者」「外交」「公用」

いわゆる一般的な就労ビザや、留学生のアルバイトであっても、外国人を雇うときは提出が必要です。
唯一の例外と言えるのが、「特別永住者」の方と、外交官などの特殊なケースになります。

特別永住者は「在留カード」ではなく、「特別永住者証明書」を持っています。この証明書には常時の携帯義務がありません。
そのため、面接などで「今日は持っていません」と言われても、法律違反にはならない仕組みです。入社手続きのときなどに、あらためて確認させてもらえば問題ありません。

派遣社員は誰が出す? 派遣元と派遣先の役割

派遣社員として外国人を自社に受け入れる場合、「派遣会社(派遣元)」と「受け入れ企業(派遣先)」のどちらが届け出るのか、迷うこともあるかもしれません。
この場合の正解は、派遣元である派遣会社です。

雇用契約を結んでいるのは派遣会社のため、実際に働いている場所が派遣先であっても、その企業が届け出る必要はありません。
ただし、紹介予定派遣などで直接雇用に切り替わったときは、その時点から自社で届出が必要になります。

【記入例】外国人雇用状況届出書の内容・準備するもの

ここからは、実際に書類を作成するための書き方について説明します。 準備するものをそろえ、記入例を確認しながら進めてみましょう。

まずは「在留カード」を用意しよう

記入を始める前に、必ず本人の「在留カード」を手元に用意してください。
届出書には、氏名や生年月日だけでなく、在留カード番号や在留資格の種類を正確に書く必要があります。

とくに注意したいのが、2020年3月から「在留カード番号」の記載が必須になった点です。
履歴書の情報だけを見て書こうとせず、実物のカード(またはコピー・画像)を確認しながら、一文字ずつ転記しましょう。

在留カードの番号は何桁?雇用する前の事前確認はどうやればいいの?知っておきたい在留資格の基礎知識

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【見本】パターンA:雇用保険に入る場合(資格取得・喪失届)の書き方

フルタイムなどで働き、雇用保険に加入する方の場合は「雇用保険被保険者資格取得(喪失)届」を使用します。この場合、外国人雇用状況届出書を別で出す必要はありません。

基本は日本人の手続きと同じですが、外国人の場合は、つぎの項目を追加で記入します。

雇用保険被保険者資格取得(喪失)届の書き方見本

雇入れ時に追記すること(雇用保険被保険者資格取得届)

欄番号届出事項書くときのポイント記入例
17氏名(ローマ字)在留カードどおりにローマ字で書く(順番もそのまま)DELA CRUZ JUAN
18在留カード番号在留カードの「番号」どおり(英数字)AB1234567CD
19在留期間在留カードの「在留期間」どおり(満了日の年月日)2026年3月31日
20資格外活動の許可の有無在留カード裏面の「資格外活動許可」を確認1=有、2=無
21派遣・請負就労区分該当する番号を選ぶ2
22国籍・地域在留カードの「国籍・地域」どおりフィリピン
23在留資格在留カードの「在留資格」どおり
※「特定技能」の場合は分野、「特定活動」の場合はその内容も必要
技術・人文知識・国際業務
備考欄「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」をすでに提出している場合や、在留資格変更申請中の場合に、その内容を記入様式第3号によって届出済

離職時に追記すること(雇用保険被保険者資格喪失届)

欄番号届出事項書くときのポイント記入例
14氏名(ローマ字)在留カードどおりにローマ字で書く(順番もそのまま)DELA CRUZ JUAN
15在留カード番号在留カードの「番号」どおり(英数字)AB1234567CD
16在留期間在留カードの「在留期間」どおり(満了日の年月日)2026年3月31日
17派遣・請負就労区分該当する番号を選ぶ2
18国籍・地域在留カードの「国籍・地域」どおりフィリピン
19在留資格在留カードの「在留資格」どおり
※「特定技能」の場合は分野、「特定活動」の場合はその内容も必要
技術・人文知識・国際業務
備考欄「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」をすでに提出している場合や、在留資格変更申請中の場合に、その内容を記入様式第3号によって届出済
住所欄
※表面
住所外国人の住所東京都新宿区西新宿一丁目2番3-405号

【見本】パターンB:雇用保険に入らない場合(第3号様式)の書き方

週20時間未満のアルバイトなど、雇用保険に入らない場合は、「外国人雇用状況届出書(第3号様式)」という専用の用紙を使います。

外国人雇用状況届出書の書き方見本

欄番号届出事項書くときのポイント記入例
氏名(フリガナ)在留カードどおりにローマ字で書く(順番もそのまま)DELA CRUZ JUAN
(デラ クルス フアン)
在留資格在留カードの「在留資格」どおり

※「特定技能」の場合は分野、「特定活動」の場合はその内容も必要

特定技能1号(ビルクリーニング)
在留期間在留カードの「在留期間」どおり(満了日の年月日)2026年3月31日
生年月日在留カードの「生年月日」どおり1999年5月1日
性別該当する方を選ぶ
国籍・地域在留カードの「国籍・地域」どおりフィリピン
資格外活動許可の有無在留カード裏面の「資格外活動許可」を確認
在留カード番号在留カードの「番号」どおり(英数字)AB1234567CD
A雇入れ年月日/離職年月日該当する日を西暦で記入雇入れ:2026年4月1日
B事業所の名称・所在地など提出する会社の情報を記入自社情報
C就労先についての確認派遣・請負で就労先が別の場合にチェック

届出用紙は、最寄りのハローワークの窓口で配布しています。

また、厚生労働省のホームページからPDFやExcel形式でダウンロードすることも可能です。手書きが大変なときは、Excelに入力してから印刷すると、作業がスムーズになります。

参考:厚生労働省 外国人雇用状況の届出について(様式ダウンロード)

よくある書き間違いと「新様式」の注意

初めて記入するときに、つまずきやすい点があります。提出前に、次のポイントを確認してみてください。

古い様式を使っていませんか?

2020年の改正で様式が変わっています。
「在留カード番号」を書く欄がない用紙は使えません。必ず最新版を用意しましょう。

在留期限は切れていませんか?

記入中に、在留期限切れに気づくこともあります。期限が切れたまま働かせると不法就労になるため、事前の確認が欠かせません。

氏名の順番は合っていますか?

国によって「姓・名」の順序は異なります。在留カードの表記どおりに書いてください。

在留カードはどう保管する? 個人情報の扱い方

注意深く書類を扱う手元のイラスト

ここからは、記入のために確認した個人情報の扱いについて整理します。
大切な情報ですので、社内での管理ルールもこの機会に決めておきましょう。

採用時に何を確認する?

書類を作成するためだけでなく、不法就労を防ぐためにも、採用時には以下の点を必ずチェックしてください。

  • 在留カードの有効期限: 期限切れでないか。
  • 就労制限の有無: 「就労不可」となっていないか。
  • 資格外活動許可: 留学生などの場合、裏面に許可スタンプがあるか。
  • 在留カード番号: 入管庁のサイトで番号が失効していないか照会。

これらを確認し忘れると、知らず知らずのうちに法律違反をしてしまうリスクがあります。入社手続きの際に、現物をしっかり見せてもらいましょう。

コピーは取っていい? 社内で保管する際のルール

「在留カードのコピーを取って保管してもいいのか」と迷う方もおおいかもしれません。
雇用管理を目的とする場合であれば、コピーの保管は認められています。

ただし、次の点には注意が必要です。

  • 利用目的を伝える:
    「雇用手続きと在留期限の管理のためにコピーを取ります」と、あらかじめ本人に伝えておきましょう。
  • 厳重に管理する:
    個人情報です。鍵のかかるキャビネットや、パスワード付きのフォルダで管理し、担当者以外が見られない状態を保ちます。
  • 退職後の廃棄:
    退職後、一定期間(法律上の保管義務期間)が過ぎたら、シュレッダーにかけるなどして適切に廃棄してください。

外国人雇用状況届出書の提出方法と期限は?

外国人雇用状況届出書をハローワークで提出する人、オンラインで提出する人のイラスト

ここからは、作成した書類の提出方法と、守る必要がある期限について確認します。
提出方法は「窓口」「郵送」「オンライン」の3つがありますが、24時間いつでも手続きができるオンライン申請を選ぶ事業所も増えています。

提出方法① ハローワークの窓口へ行く(または郵送)

作成した届出書を、事業所の住所を管轄するハローワークへ直接持ち込む方法です。
初めてで書き方に不安があるときは、窓口で職員の方に確認しながら提出できるため、安心感があるでしょう。

また、郵送での提出も可能です。その場合は、控えを返送してもらうための返信用封筒を同封することを忘れないようにしてください。

提出方法② オンラインで提出する

オフィスにいながら手続きが進められる「電子申請」も便利です。
ただし、雇用保険の加入状況によって利用するシステムが異なります。

雇用保険に加入する場合

「e-Gov(イーガブ)」というポータルサイトから申請します。他の社会保険手続きと同じ流れです。

雇用保険に加入しない場合

厚生労働省の「外国人雇用状況届出システム」という専用サイトを使います。こちらは、比較的シンプルな操作で登録できます。

オンラインのID登録でエラーが出たら?

「外国人雇用状況届出システム」でID登録をしようとしたところ、エラーが出て先に進めない、ということがあります。
これは、過去に紙の書類でハローワークへ届出をしたことがある事業所で起こりやすいトラブルです。すでにハローワーク内に事業所のデータがあるため、新しくIDを作れない仕組みになっています。
そのため、この場合は管轄のハローワークへ連絡し、「ID等の再発行申請」の手続きを行ってください。

外国人雇用状況届出書の提出期限

提出期限についても、あらためて整理しておきましょう。

雇用保険「あり」の場合

雇い入れは「翌月の10日まで」、離職時は「翌日から10日以内」となります。期限が早めなので注意が必要です。

雇用保険「なし」の場合

雇い入れ・離職ともに「翌月の末日まで」です。

とくに、雇用保険ありの離職手続きは期限が短くなります。うっかり遅れないよう、早めの対応を心がけましょう。

出し忘れたらどうする? 罰則と対処法

ここからは、万が一手続きを忘れてしまった場合のリスクと、その対処法を整理します。
「知らなかった」では通らない場面もあるため、ポイントをしっかり押さえておきましょう。

罰金30万円のリスク

外国人雇用状況届出書の提出は、法律で定められた義務です。
提出を怠ったり、事実と異なる内容を記載したりした場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

「書類一枚くらい」と感じるかもしれません。しかし、不法就労助長などを防ぐための重要な書類であり、国も厳しく確認しています。
コンプライアンスの観点からも、期限内の提出が基本になります。

出し忘れに気づいたら、すぐにハローワークへ

「忙しくてすっかり忘れていた」「期限を過ぎてしまった」 そんなときは、気づいた時点ですぐにハローワークへ連絡し、提出してください。

そのまま何もせずにいるのが、いちばん避けたい対応です。
遅れてしまった理由を正直に伝え、速やかに手続きを行えば、すぐに罰金が科されるケースは多くありません。まずは誠実に向き合うことが大切です。

書き間違いに気づいた場合の訂正方法

提出後に、「名前のスペルが違っていた」「在留資格の選択を間違えた」と気づくこともあります。
そのようなときも、自己判断で二重線を引くなどの修正は行わず、ハローワークに相談しましょう。

訂正用の書類を提出すれば、正しい内容に修正してもらえます。
そのままにせず、早めに直しておくことが、後のトラブルを防ぐことにつながります。

よくある質問【FAQ】

Q. アルバイトや留学生も対象ですか?

A. はい、対象です。

正社員に限らず、アルバイトやパート、留学生のアルバイトなど、雇用形態に関係なく届出が必要になります。週1回の勤務であっても提出義務がありますので、この点は忘れずに確認しておきましょう。

Q. 雇用保険の手続きをすれば「外国人雇用状況届出書」は不要ですか?

A. はい、別途の提出は不要です。

「雇用保険被保険者資格取得届」には在留資格などを記入する欄があります。そこを正しく記載して提出すれば、「外国人雇用状況届出書」を提出したものと同じ扱いになります。
あらためて2種類の書類を提出する必要はありません。

Q. 在留カードのコピーは提出するのですか?

A. 提出は不要です。

届出書には在留カードの内容を転記すれば問題ありません。在留カードのコピーそのものを添付して、ハローワークへ提出する必要はありません。
ただし、窓口で手続きをする際に、確認のため提示を求められることはあります。また、会社控えとして社内でコピーを保管しておくこと自体は差し支えありません。

さいごに

ここまで、外国人雇用状況届出書の書き方や提出のルールを見てきました。

最初は「様式や期限など、覚えることがおおくて大変そう」と感じた方もいるかもしれません。しかし、ポイントを押さえてしまえば、特別に難しい作業ではありません。

  1. 在留カードを必ず確認する
  2. 雇用保険に入る・入らないで書類を選ぶ
  3. 期限内にハローワークへ提出する(オンラインも可)

基本は、この3ステップです。

手続きをきちんと行うことは、会社を守るだけでなく、働いてくれる外国人スタッフにとっての安心にもつながります。

「難しそう」と身構えず、まずは目の前の書類作成からひとつずつ進めてみましょう。
正しい知識があれば、外国人採用はもっと身近で、御社の力強い味方になってくれるはずです。

自社に合った募集方法が分からず、一人で抱え込んでいませんか?

外国人雇用状況届出書の手続きに限らず、外国人採用の基本ルールを正確に理解するには、どうしても時間がかかります。
在留資格(ビザ)とは何か、どの在留資格に注目すべきかなど、現場で迷う場面はおおいものです。

そこで、採用に不安を感じている担当者の方に向けて、課題別に整理したおすすめの採用方法を一冊にまとめました。
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