日本で永住権を申請することは、外国人にとって大きな節目となります。
以前は、結果が出るまでの期間が比較的短く、4か月ほどで許可されることもありました。しかし、最近では申請する人が増えたことや、審査基準が厳しくなったこと、追加の書類を求められることなどが影響し、審査にかかる時間が大幅に延びています。

この記事では、永住権の基本的な説明に加え、現在の審査期間やその理由、そしてスムーズに審査を進めるための具体的な対策や注意点についてわかりやすく紹介します。

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永住権の基礎知識 

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永住権とは、日本にずっと住み続けることができる権利のことです。「永住者」という在留資格を持つ外国人が、この権利を持っています。
永住権を取得すると、ビザの更新が不要になり、企業や自治体からの信用も高くなります。

永住権を得るための条件は?

① 素行が善良であること

普段の生活で法律やルールを守り、犯罪を犯していないことが求められます。たとえば、交通違反を何度も繰り返すと、審査に影響が出ることがあります。

② 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

仕事をして安定した収入がある、または十分な貯金や財産を持っていて、生活保護などに頼らずに自分の力で暮らせることが条件になります。
審査では、収入のほかに貯蓄や持ち家の有無などもチェックされます。

③ その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

日本でどのように貢献しているか、これからも安定した生活ができるかが審査されます。
日本に10年以上住んでいること(そのうち5年以上は働いていること)や、税金、年金、健康保険の支払い状況なども重要なポイントになります。

永住権の申請方法は?

永住権を申請するには、法務省が発表している「永住許可に関するガイドライン」を参考にしながら、必要な書類をそろえたり、理由書を作成したりする必要があります。また、身元保証人を見つけるなどの手続きもあります。
書類を用意したら、住居地を管轄する「地方出入国在留管理官署」に申請します。

申請をスムーズに進めるために、行政書士や専門家のサポートを受ける人も多いです。こうしたサポートを活用することで書類の不備を防ぎ、審査に通る可能性を高めることができます。

永住権の審査期間はどれくらい?

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出入国在留管理庁の発表によると、永住権の申請には通常4か月から6か月かかるとされています。しかし、2025年2月の最新情報では、平均で10か月ほどかかっていることがわかりました。
実際の審査期間は、申請する人が増えていることや、審査基準が厳しくなっていることが影響し、大幅に長くなっています。ただし、地域によっては東京よりも早く審査が終わることもあります。

許可率については公式な発表がありませんが、行政書士や専門家の話では60%から90%ほどとされています。この差は、申請する地域や手続きをサポートする専門家の知識や経験によって変わると考えられます。

出入国在留管理庁の公式サイトでは、在留審査にかかる平均日数を在留資格ごとに公開しています。最新の情報を確認したい場合は、以下のページを参考にしてください。

参考:出入国在留管理庁 在留審査処理期間

永住権審査の流れ

審査の流れを表したイラスト

1. 申請の受付

申請日が記録され、まず書類の初期チェックが行われます。不備がある場合は追加の書類を求められることがあり、これが審査期間を長引かせる原因のひとつになります。

2. 書類審査

申請書や永住理由書、在留資格証明書、納税証明書、在職証明書などをもとに、審査官が詳しく確認します。
とくに、提出された書類が正確であるか、申請者の生活が安定しているか、日本にどのように貢献しているかが重要なポイントになります。

3. 追加書類の提出(必要な場合)

もし審査官が不明な点を見つけた場合、追加の資料提出を求められることがあります。新たに書類を作成する必要がある場合、さらに審査期間が長くなることがあります。

4. 最終判断と結果通知

審査が終わると、結果がハガキやメールで通知されます。許可された場合は、管轄の出入国在留管理官署で在留カードが交付されます。

このように、審査にはいくつもの手順があり、申請が増えていることも影響して、審査期間が長くなっているのが現状です。

永住権の審査期間を短くするためのポイント

永住権の審査期間を短くするためのポイント一覧

永住権の審査をできるだけ早く終わらせるには、申請前の準備がとても大切です。
事前にしっかり対策をしておけば、審査がスムーズに進み、結果が早く出る可能性が高くなります。

① 申請書類の不備をなくす

正しく記入することが重要

在留カード番号やパスポート情報など、基本的な情報は間違いがないよう慎重に記入します。書類に不備があると、追加の資料を求められたり、再提出が必要になったりするため、審査が長引く原因になります。

チェックリストを活用する

必要な書類(永住許可申請書、写真、在留カード、パスポート、住民票、在職証明書、納税証明書、年金・医療保険の納付状況証明書など)を確認し、すべてそろっているか何度もチェックします。

出入国在留管理庁の公式サイトではチェックリストが公開されているため、これを活用すると便利です。

参考:出入国在留管理庁 永住許可申請(チェックリスト) ※ページ下部にある、現在お持ちの在留資格ごとの詳細ページへのリンクをご確認ください。

② 永住理由書の作成

具体的な内容を書く

永住理由書には、以下のような内容を詳しく書きます。

  • 日本での滞在歴や仕事の経験、学歴
  • 日本社会への貢献(ボランティア活動や表彰など)
  • 今後の目標やキャリアプラン
  • 日本文化への理解や日本語の能力
  • 家族との関係や生活の安定性

これらをしっかり記載することで、審査官に永住の必要性を伝えることができます。

専門家に相談する

永住理由書は自由に書ける分、どのようにまとめるか迷う人も多いです。行政書士などの専門家に相談すれば、より説得力のある内容にすることができ、審査を通過しやすくなる可能性があります。

③ 審査期間中の転職はできるだけ避ける

現在の仕事を続けるのが理想

審査では、申請時の仕事収入の安定性が重視されます。審査期間中に転職すると、新しい在職証明書や納税証明書の提出が必要になり、審査が長引く可能性があります。

転職が避けられない場合

どうしても転職する必要がある場合は、すぐに入管に報告し、適切な手続きを行います。正直に対応することが審査官の信頼を得るためのポイントになります。

④ 追加の資料を準備する

経済的に安定していることを示す

預金通帳の残高証明書、不動産の登記事項証明、給与明細、源泉徴収票などを提出すると、安定した収入があることを証明できます。

日本社会への貢献をアピールする

表彰状や感謝状、企業や自治体からの推薦書などがあると、日本での活動が評価され、審査に良い影響を与える可能性があります。

事前にしっかり準備をしておけば、審査期間を短縮できるだけでなく、永住許可が下りる可能性も高まります。
スムーズに手続きを進めるために、できることをしっかりと行いましょう。

永住権の審査期間についてよくある質問(FAQ)

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Q1. 審査期間が長くなる理由は何ですか?

最近では、永住権の申請件数が増えたことや、審査基準が厳しくなったことが主な原因です。また、書類に不備があったり、追加の資料を求められることも影響しています。これらが重なり、審査期間が以前よりも大幅に延びています。

Q2. 永住理由書はどう作成すればよいですか?

永住理由書では、自分の滞在歴や仕事の経験、学歴、日本社会への貢献、そして将来の目標などを詳しく書くことが大切です。自分の思いや日本にどれだけ貢献したいかを伝える良いチャンスです。
もし内容に悩んだり不安があれば、専門家に相談してアドバイスをもらいましょう。

Q3. 審査中に転職するとどうなりますか?

転職すると、新しい職業を証明するための書類が必要になります。そのため、審査が長引く可能性が高いです。
また、転職後の生活の安定性が不安視されることもあります。できるだけ現在の仕事を続ける方が審査には有利です。転職は永住権を取得した後に考える方が良いでしょう。

さいごに

永住権を取得することは、日本で安定した生活を送り、キャリアを築くための大きな一歩です。
しかし最近では審査基準が厳しくなり、申請件数も増えたため、取得までに1年近くかかることもあります。申請書類の不備をなくし、説得力のある永住理由書を作成すること、審査中に転職しないようにするなど、準備をしっかりと行うことが大切です。
永住権取得までの道のりは長いかもしれませんが、正しい情報を集めて、適切な対策をとることで、確実に目標に近づけます。

外国人を雇用している企業や、これから採用を考えている企業は、日本人と同じ条件で働ける永住者を希望するケースが増えています。もし外国人労働者が永住を目指している場合は、この記事を参考にしてサポートしてあげてください。

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