現在、外国人留学生の数は年々増加しています。
観光客やグローバルな市場が当たり前となっている中、留学生を採用する企業も少なくありません。

本記事では外国人留学生の現状と採用するメリット、注意点について解説します。

外国人留学生の現状

留学生は年々増加中

2023年に文部科学省が行った調査では、外国人留学生の数が約28万人を記録しています。国籍別で見ると、中国(約11万人)、ネパール(約3万8千人)、ベトナム(約3万7千人)の順で多くなっています。

参考:文部科学省「外国人留学生在籍状況調査」及び「日本人の海外留学者数」等について

日本での就職を目指す留学生も多い

日本での就職を目指す留学生も少なくありません。JASSO(日本学生支援機構)による令和3年度のアンケートでは日本国内で就職を希望する留学生は全体の58%を記録しています。

理由としては、主に「給与のちがい」です。多くの留学生は母国よりも優れた日本企業の待遇に魅力を感じるようです。
また、留学・就職先として日本を選ぶと、治安の面で家族からの印象がよいことも関係しています。

参考:JASSO 令和3年度私費外国人留学生生活実態調査

採用するメリット

外国人留学生の採用は人手不足への対応だけでなく、企業に革新的な変化をもたらすきっかけとなります。
以下では、採用のメリットと企業に与えうる変化についてご紹介します。

①多言語への対応

英語をはじめとした、多言語へと対応できるようになるのは外国人留学生を雇用するつよみです。インバウンドの影響から、あらゆる場で外国語による対応が求められているでしょう。グローバルな市場があたりまえとなっていることから、職場でも英語の利用が不可欠となってきています。

また、留学生は日本語の習得に励んでいる方がほとんどです。最低限の日本語を扱うことができ、流暢に話せる方も少なくありません。

英語につよい日本人の人材は増えてきましたが、中国語など、ほかの需要が高い言語にも対応できるのも外国人留学生の魅力であるといえます。

②海外のSNSを有効活用できる

多言語へと対応できるようになるのと同時に、海外のSNSを活用できるようになるのもメリットの一つです。

近年どの業界でもSNSの利用が一般的となっており、特に飲食店ではSNSがお客様を呼び込む主要なツールとなっているでしょう。インスタグラムやXをはじめとした世界的に使われているSNSが中心となっていますが、それぞれの国ごとに利用者の多いローカルなSNSもあります。

そうしたローカルなSNSは競合が少ない上に、特定の顧客へとリーチし、新たな市場を発掘できる点が魅力的です。ネイティブの方でないと使いこなせない場合がほとんどなため、若い外国人留学生は貴重な戦力になるといえます。

③創造力の促進

異文化のバックグラウンドを持つ留学生は、異なる視点と独自のアプローチを職場にもたらします。これは、問題解決や意思決定のプロセスにおいて、新しいアイデアや創造的な解決策を生み出す原動力となります。

外国人留学生で一番多いのは中国人ですが、中国には議論において「正確さはあまり求めずに、その話の面白さや影響力を重視する」文化があります。つまり中国人は思いついたことをそのまま言えてしまうという特徴があるのです。
その風通しのよい思考と、母国の立場にも立てる発想で、外国人留学生は新たなアイデアや視点を持ち出してくれることが期待できます。

例えば、海外出店している日本の弁当屋での事例では、中国出身の従業員が「のり弁は中国人的に面白いと思う」と話したことがきっかけで、小さな店舗でも中国語の表示を徹底しました。すると現地で暮らす中国人や、そこに来た観光客などからの売り上げが増大したということがあります。

日本人が感知できない需要の存在を、外国出身の従業員が発掘した良い事例でしょう。

注意点

留学生のアルバイト上限時間

留学ビザでアルバイトをする場合、週28時間以内という上限が決まっています。アルバイトを複数掛け持ちしていると、その合計時間が対象となるので注意が必要です。
上限を超えてしまうと、在留資格変更を申請する際に不許可になる可能性があり、場合によっては帰国となります。

留学生のオーバーワークによる問題は少なくないので、企業側も注意しなければなりません。

在留資格の変更手続き

外国人留学生のビザは「留学ビザ」になっています。そこから就業をするためには、ビザを「就労ビザ」に変更する必要があります。
ビザ変更のためには【在留資格変更許可申請書】を出入国在留管理庁に提出する手続きを踏み、審査を受けます。

結果が出るまでの期間は2週間から半年と状況によって大きな幅が出るので、余裕を持って行うようにしましょう。

職場の受け入れ体制

せっかく優秀な外国人留学生を採用しても、人間関係の問題や職場の環境が合わないといった理由ですぐにやめてしまうこともあります。また、日本人社員との待遇に違いがあるといった問題も近年少なくありません。

採用の際には同時に、外国人社員の受け入れ体制を社内で整える必要があります。

実際に日本の大学に通う留学生に聞いた、働きやすい職場について解説した記事もぜひご覧ください。

グローバル企業の条件とは? 外国人の働きやすい日本の職場|メリット・おすすめ人材について解説

日本で急増中の外国人留学生

以下では採用をする際の参考として、日本で急増中の外国人留学生をご紹介します。

バングラデシュ人

親日で名高いバングラデシュ人ですが、日本によく似た国民性や文化をもちます。その一つとして「おもてなし」の心があります。ゲストに対しては誰であろうと、まるで長い間、親しくしている仲のように接します。

また、人間関係においては、年功序列の文化があるそうです。バングラデシュでは、年上への敬意をはらうのは非常に大切なことだと言います。職場だけでなく、学生のころから先輩と厳しい上下関係のもと関わります。

実際にバングラデシュ人の留学生の方にインタビューした記事もありますので、ぜひご覧ください。

バングラデシュ人の特徴は? 文化や国民性・働き方を解説

ネパール人

ネパール人は日本人に近い、控えめな性格をもっています。ネパール語は日本語と同じように「私は、野球を、する」という語順で話します。そのためか、ネパール人には「おれが、おれが」とまえに出てくるタイプは少ないとも言われています。日本人に似た、人間関係の常識や、対話するさいの距離感を持っているといえるでしょう。

また、ハードワーカーの方が多いのも特徴です。これには、ネパール人は若いころから、母国にいる祖父母に仕送りをするのが一般的だということが影響しているようです。ほとんどのネパール人が経済的に独立したいという思いをもっており、熱心に働く方が多いと言います。

ネパール人の留学生の方にインタビューした記事もぜひご覧ください。

【日本で増加中!】ネパール人と仕事をすることになったら? 文化や特徴・国民性・歴史などについて解説!

インドネシア人

インドネシア人のもっとも特徴的な部分は、高いレベルの語学力です。英語はもちろん、中国語も当たり前につかいこなせる方が多いようです。また、日本のアニメや漫画が現地では人気があります。その影響から日本語学習者も多く、約70万人程度いると言われています。

ただ、時間に対する感覚は大きく異なっており、現地では時間をきちんと守る文化がありません。日本に住んでいるうちに時間厳守といわれていると、次第にそうなるようですが、人1倍伝える必要があります。

インドネシア人の性格や、一緒に働く際の注意点について詳しく解説した記事もご覧ください!

急増するインドネシア人の労働者! 留学生に聞いたいまの国内事情、就職は日本より過酷?!

まとめ

外国人留学生の現状と採用のメリット、注意点について解説しました。

本記事の最後でもご紹介したように、日本で働く意欲の強い外国人留学生の方はたくさんいます。グローバルなビジネス環境が当たり前となっている今、外国人留学生はどの企業にとっても貴重な人材となっています。

ぜひ外国人留学生に注目して、採用に挑戦しましょう。