契約書にサイン(署名)を求められたとき、「筆記体で書くべき?」「イニシャルだけでいいの?」と迷った経験はありませんか?

英文契約書のサインは、筆記体で書くのが一般的です。真似されにくい筆記体を用いることで、偽造を防ぐ目的があります。

この記事では、英文契約書の署名欄の正しい書き方やイニシャルサインのルール、青ペンが推奨される理由など、実務で欠かせないマナーをわかりやすく解説します。

コミュニケーション実践ガイド 資料DL バナー

英文契約書の基本構成をチェック!

まずは、英文契約書の全体像を把握しましょう。どこにサインすべきかを知ることが、契約実務の第一歩です。

英文契約書の標準的な構成

一般的な英文契約書は、以下の順序で構成されています。

  1. Title(タイトル):Agreement、Contractなど
  2. Preamble(前文):契約当事者の名称や契約締結日
  3. Recitals(前文/説明条項):契約に至った背景
  4. Operative Part(本文):具体的な契約条項
  5. Execution Clause(末文):締結の合意を示す定型文
  6. Signature Block(署名欄):★ここでサインを行います

署名欄の位置(Signature Block)は契約書の末尾

サインをする場所は、通常、契約本文のすぐ後(最終ページ)に用意されています。
当事者が2名以上の場合は、横に並ぶか、上下に並んで配置されるのが一般的です。

なお、最終ページ以外にも「イニシャルサイン」を求められるケースがあります。

サイン(署名)が求められるのはどんなとき?

「サイン」は契約書だけでなく、海外での生活やビジネスのさまざまな場面で必要になります。

ビジネスシーン

  • 各種契約書:秘密保持契約(NDA)、売買契約、業務委託契約など
  • 雇用契約:海外現地法人での採用時や、外資系企業への入社時
  • 銀行口座の開設:法人口座や個人口座の開設、送金指示など

私的なシーン(生活・旅行)

  • ホテルのチェックイン:本人確認としてフロントで求められます
  • クレジットカードの決済:端末での支払いや伝票への署名
  • 不動産の賃貸・購入:アパートの契約や公共サービスの手続き

ビジネスでも日常でも、サインは本人の意思を示す行為として、おおくの場面で使われています。

なぜ英文契約書では「自筆のサイン」が重要なの?

契約書に英語でサインする中小企業の社長の画像

日本の「印鑑(ハンコ)」文化に対し、英語圏ではなぜ「サイン」が重視されるのでしょうか。

サインは「本人」であることの唯一の証明

日本では「実印」というモノが法的な証拠能力を持ちますが、海外では「その人がその場で、自らの意思で書いた」という事実が、最大の証拠になります。
印鑑には盗難や不正使用のリスクがありますが、サインは本人の身体的な動作、つまり筆跡の癖にもとづいて残るため、より個人的で強力な本人確認手段とみなされています。

筆跡が残ることによる、偽造・改ざんリスクの抑止

英語圏の法務実務では、万が一、裁判などで契約の有効性が争われたとき、筆跡鑑定が行われることがあります。
筆記体で流れるように書かれたサインは、単なる活字やスタンプよりも模倣がきわめて困難です。
そのため、本人にしか書けない独特の崩しや筆圧が、契約の真正性を守るセキュリティとして機能しています。

すべての条項に同意した、という最終確認

サインをすることは、契約書に記載されたすべての条項を読み、その内容に拘束されることへ同意したという、不可逆的な意思表示です。
欧米の法体系では「署名した以上、内容を知らなかったとは言えない」という原則が強く働きます。サインは単なる手続きではなく、重大な法的責任を引き受ける宣言として扱われています。

詐欺防止法(Statute of Frauds)から見たサインの意味

英米法には「詐欺防止法」という考え方があり、一定の重要な契約、不動産売買や高額な物品売買などについては、署名のある書面がなければ裁判で強制執行できないと定められています。
つまり、サインのない契約書は、法的な場面で力を発揮しない可能性があるため、ビジネス実務において署名は欠かせない要素なのです。

英文契約書のサイン|4つの必須項目と書き方・ルール

労働条件を確認しながら雇用契約書にサインする外国人労働者の画像

ここからは、書き方のマナーを整理します。署名欄は通常、以下の4つの項目で構成されます。

署名欄の基本構成

項目(英語表記)記入する内容書き方のポイント
By:署名(Signature)自筆の筆記体で書く
Name:記名(Printed Name)判別のためにブロック体(大文字)で書く
Title:役職名CEOやManagerなど、自らの役職を書く
Date:署名日日付を書く

署名(Signature)と記名(Printed Name)のちがい

  • Signature(署名):偽造を防ぐために自分独自の「筆跡」を残すものです。筆記体で崩して書くのが一般的で、パスポートの署名と一致させることが国際的なマナーとされています。
  • Printed Name(記名):第3者が名前を正しく認識するためのものです。誰でも読めるブロック体で記載します。

日付と役職の表記ルール

  • 日付:アメリカ式(Month/Day/Year)とイギリス式(Day/Month/Year)の混同を避けるため、January 31, 2026 のように月を英字で書く方法が推奨されています。
  • 役職:代表取締役(President/CEO)、部長(General Manager)、課長(Manager)など、正しい英語表記を用います。

契約書の改ざんを防ぐ「イニシャルサイン(Initialing)」とは?

日本の「割印・契印」に相当するのが、イニシャルサインです。
すべてのページ内容を確認した証拠となり、後からのページ差し替えや改ざんを防ぎます。
ページ数がおおい契約書では、リスクを抑えるために欠かせない作業です。

  • 記入場所:最終ページ以外の全ページの余白(通常は右下)
  • 書き方:フルネームではなく、名前の頭文字のみを記入(例:Taro Yamada の場合は TY)

英語のサインに関するよくある質問【FAQ】

Q. サインの横に日本のハンコ(捺印)を押すべきですか?

A. 原則として不要です。

英文契約書では、自筆のサインのみで法的な効力が認められています。
サインの横に日本の印鑑を押しても、海外の相手に法的な意味が伝わらず、かえって混乱を招いたり、書類が汚れていると受け取られたりする可能性があります。
日本国内の銀行などが関わる特殊なケースで指定がある場合を除き、サインのみで進めるのが一般的です。

Q. 「本人のサインであること」をどうやって証明するのですか?

A. 「公証(Notarization)」や「サイン証明」を利用します。

日本の印鑑登録証明書に相当する方法として、次のような手段があります。

  • 公証役場での認証:公証人の目の前でサインを行い、本人の署名であることを証明する書類を付けてもらう
  • 領事認証やアポスティーユ:外務省や大使館を通じて署名の真正性を証明する

参考:外務省|公印確認・アポスティーユとは

Q. 漢字でサインしても法的効力はありますか?

A. はい、有効です。

本人固有の筆跡であれば、漢字で署名しても問題ありません。
ただし、海外での本人確認を想定する場合は、パスポートの署名と同じ形式(ローマ字の筆記体など)で統一しておくと、トラブルを避けやすくなります。

Q. ペンの色は「黒」でなければいけませんか?

A. 欧米では「青」が好まれることが多いです。

コピーと原本をひと目で見分けるため、原本には青インクが使われる慣習があります。
指定がなければ黒でも法的には有効ですが、国際的な実務では青インクも広く使われています。

Q. 電子署名の場合はどうなりますか?

A. システム上のフォント選択や、手書き署名画像のアップロードで完了します。

物理的に筆記体で署名しなくても、電子署名法にもとづき、法的な効力は認められています。

さいごに

近年、外国企業との取引やグローバル化の進展により、日本国内でも契約書をサインで交わす場面が増えています。
契約は単なる事務手続きではなく、重大な法的責任を伴う合意のプロセスです。

とくに企業の経営層や役員の方は、インターナショナルなルールにもとづいて契約を締結する機会が多くなります。
署名権限の有無やイニシャルサインの慣習、日付の表記ルールなど、英語でのサインの仕方を事前に確認しておくと、実務をスムーズに進める助けになるかもしれません。

正しい知識を身につけ、グローバルスタンダードに沿った対応を意識しておきましょう。

外国人採用の実務やルールを詳しく知りたいですか?

英文契約書の取り扱いに限らず、外国人採用では法的な手続きや雇用管理など、専門的な知識が求められる場面が少なくありません。

ガイダブルジョブスでは、トラブルを未然に防ぎ、受け入れをスムーズに進めるためのポイントを整理した資料をご用意しています。
これから外国人採用を始めたいと考えている方は、ぜひこの機会に内容をチェックしてみてください。

外国人採用ハンドブックを無料でダウンロードする>>

外国人採用スムーズ 相談 バナー