【外国人労働者の懐事情】 理想の年収と今の年収のギャップはどれくらいある? 在留外国人の年収や貯金
物価の上昇、増税、老後2000万円問題。転職や副業で収入アップを考えている方々も多いのではないでしょうか。そんな世の中で、言語も文化も異なる日本で働く外国人労働者の方々は、現状の年収にどの程度満足しているのでしょう。
今回は在留外国人労働者140名【男女比5:5、身分系(永住者・定住者・配偶者等の長期滞在者)が全体の7割】を対象に、年収や貯蓄、仕送りについてなど、普段は聞けないお金のことを調査しました。
目次
Q1:現在の年収は?
現在の年収は100〜300万の方が41.7%、100万以下の方が36.1%となり、年収300万以下の方々が全体の約8割となりました。男女別でみると年収300万円以下の割合は、男性が67%、女性が89%、300〜500万の割合は男性が19%、女性が4%となりました。
また「身分系」と呼ばれる長期滞在者だけでみても、年収300万円以下の割合が全体の81%、男女別では男性60%で女性93%となっています。日本人と同じように就労制限なく働くことができる身分系人材ですが、今回のアンケート調査では年収の分布は全体の結果と大差がない結果でした。
Q2:現在の収入に満足している?
実際に8割以上の方が現状の収入に満足していないと回答しています。
その理由としてもっとも多く挙げられたのが「収入のほとんどが生活費として消費されるから」で52.5%、つぎに多い回答が「子育てをするのに十分な費用ではないから」「円安の影響」「自由に使えるお金が足りないから」でそれぞれ約35~40%でした。
調査対象の約6割が「子どもがいる」と回答していることもあり、固定費や教育費が支出の大半を占めていると考えられます。
また「日本でもっと稼げると期待していたから」「労働量に見合った対価ではないから」という理由がつづきます。円安を始めとした現在の経済状況や労働環境が継続すれば、今後は日本の出稼ぎ国としての需要が低下していく恐れもあるかもしれません。
Q3:仕送りはしている?
Q4:仕送りの頻度はどのくらい?
以上より、全体の約半数強が母国にいる家族に仕送りをしていることがわかりました。円安の影響もあり、為替をみて一度にまとめて送金する方が多いと予想していましたが、実際は毎月送る方が約6割、3ヶ月に一度の方が25%という結果になりました。
Q5:一年に仕送りする金額は?
年間の仕送り額としてもっとも多かったのが5〜10万円のあいだで43.6%、つづいて5万円以下が19.2%、10〜20万円の方が12.8%という結果でした。
東南アジア諸国の年収と比較した際、インドネシアの平均年収は38万8千円、月収で2万6千円(中央統計庁による2022年2月の調査より)、フィリピンの平均年収は約48万円、月収で約4万円(国家統計局国際労働機関より)ほどです。
母国の数ヶ月分の給料にあたる額を仕送りしている方が多いようです。
Q6:貯金はしている?(仕送り額は含まずに)
全体の65%の方が貯金をしていないと回答されました。
そこで貯金をしている方にはその額を、していない方には理由をお聞きしました。
Q7:貯金額は?
貯金額は50万円以下の方が45.1%ともっとも多く、つづいて50〜100万の方が19.6%となりました。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和元年調査結果」をもとに、日本の2人以上世帯(金融資産保有世帯)の貯蓄額と比較してみると、20代の平均値が220万円、中央値が165万円、30代の平均値が640万円、中央値が355万円となっており、日本平均に比べると、今回のアンケートに回答してくれた外国人労働者の貯蓄額は相対的に少ないことがわかります。
Q8:貯金をしていない理由は?
貯金をしていない理由としてもっとも多かったのが、「すべてのお金を支出しているから」で、つぎに多かった回答が「最低限のお金しか貯金にまわすことができないから」「仕送りをしているから」となりました。
その他の回答の多くが「給料が足りない」という理由で、やはり収入の低さが貯蓄に影響しているようです。
Q9:理想の年収はどれくらい?(現在の職場で可能な範囲で)
理想の年収は300〜500万が35.6%でもっとも多く、つづいて100〜300万が22%となりました。
日本の平均年収以下の収入を理想とする方が全体の68%という結果となり、現在の職場や働き方で収入が飛躍的に増加する可能性は低いと捉えている方が多いようです。
Q10:収入を増やすために行っている工夫は?
収入を増やすための工夫としていちばん多く挙げられたのは「新しい仕事を探す」で68票、それにつづいて「節約をする」「副業をする」「残業をする」が挙げられました。
Q9の回答と合わせて考えると、現状の職場や働き方で収入アップを目指すというよりも、転職を目標としている方が多いようです。
結論
- 現在の給料に満足していない方が全体の8割を超えていた。
- 8割の方が年収300万円以下。理想の年収でもっとも多かったのは300〜500万円。
- 貯金をしていない方の割合は65%。給与のほとんどが生活費として支出され、貯金に回せる額が残らないことが大きな要因。
- 仕送りをしている方は54%で、年間で母国の数ヶ月分の給料にあたる額を納めている。
- 収入を増やすための工夫として転職を考える方が多い。
今回の調査で、現状の収入に不満がある方が全体の8割を占め、多くの方がより高い給与を望んで転職を視野に入れていることがわかりました。
生活費や教育費との兼ね合いで貯蓄にまわすことができる費用が限られている中でも、母国への仕送りや子育てを両立している方が多いことに驚きます。
「日本ではもっと稼げると期待していた」「円安の影響が厳しい」という声も上がり、今後はますます外国人労働者全体の賃金の向上や、就労環境の整備が必要とされると言えるのではないでしょうか。
外国人に対してアンケートや市場調査を考えているという方は、ぜひ弊社までご連絡ください!