在留資格の申請で「理由書」が必要になったものの、何を・どう書けばいいか迷っていませんか?

この記事では、企業が用意する雇用理由書と、外国人本人が用意する理由書の両方について、書き方のポイントと実際に使える例文をわかりやすく解説します。

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理由書・雇用理由書の基礎を3分で整理しよう

在留資格を申請する際、出入国在留管理庁(入管)から「理由書」の提出を求められることがあります。

じつはこの理由書には企業が用意するものと外国人本人が作成するものの2種類があります。それぞれ目的も書く内容も異なるため、まず違いをしっかり把握しておきましょう。

企業が用意する「雇用理由書」

  • 提出場面:就労ビザ申請時
  • 提出者:雇用する企業
  • 目的:採用の合理性を証明する
  • 書く内容:採用理由・業務内容・経歴との関係性・支援体制など
外国人本人が用意する「理由書」

  • 提出場面:在留資格の取得・変更・更新、転職時など
  • 提出者:外国人本人
  • 目的:申請の背景と意思を伝える
  • 書く内容:来日の目的・会社を選んだ理由・学歴職歴・将来のプランなど

なぜ「任意提出」でも理由書が必要なの?

理由書・雇用理由書は法律上の提出義務はありません。しかし実務上は、ほぼ必須と考えるべき書類です。

提出しない場合のリスク

  • 書類だけでは伝わらない事情(転職理由、採用背景など)が審査官に伝わらない
  • 疑問点が解消されず、後から追加資料の提出を求められる
  • そのまま不許可になるリスクが高まる

入国管理局がチェックする4大ポイント

チェックポイント審査官が確認すること
① 業務内容と経歴の関係仕事内容が申請者の学歴・職歴と一致しているか(とくに「技術・人文知識・国際業務」などの要件)
② 会社の安定性と継続性黒字経営かどうか、継続的に雇用できるか、給与をきちんと払えるか
③ 採用の合理的な理由なぜ日本人ではなく、その外国人を採用するのか(語学力・専門知識・文化的な理解など)
④ 受け入れ体制の整備社会保険の加入状況、教育・研修制度、生活面のサポートが整っているか

企業カテゴリーによって求められる説明の深さが変わる

就労ビザ申請時、企業は法務省が定める「カテゴリー1〜4」に分類されます。カテゴリーの数字が大きいほど、理由書で丁寧に説明することが求められます。

カテゴリー対象企業理由書で強調すべき点
1上場企業、国・地方自治体、独立行政法人など採用理由の簡潔な説明・担当業務の概要(信頼性の補足は基本不要)
2源泉徴収税額1,000万円以上の団体・オンライン申請承認機関など採用理由と背景・職務内容と学歴等との整合性
3上記以外で法定調書合計表を提出している企業事業の安定性・業務と適性の一致・職場の支援体制
4法定調書合計表の提出義務がない中小企業採用理由をより具体的に・企業の将来性・給与支払い能力
中小企業ほど理由書が重要
カテゴリー3・4の企業は審査官にとって情報が少ないため、「なぜこの人を採用するのか」「会社として信用できるか」を理由書でしっかり補うことが極めて重要です。

【企業向け】雇用理由書の例文と書き方ガイド

雇用理由書では「なぜこの人材を採用したのか」「どのような場面で活躍してもらいたいのか」を具体的に伝えることが大切です。
ここでは、中規模の機械専門商社がミャンマー出身の人材を採用するケースをもとに例文を紹介します。

例文:雇用理由書2026年○○月○○日

△△出入国在留管理局長 殿

東京都千代田区大手町○-○○
株式会社QCDプラス
代表取締役 ○○ ○○

雇用理由書

下記の者を当社にて採用することを予定しております。採用に至る経緯と理由をこちらに提示いたしますので、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の審議の程、よろしくお願い申し上げます。

1. 申請者の概要
採用者氏名:○○○ 国籍:ミャンマー 生年月日:1994年○○月○○日(25歳)

2. 会社概要
所属機関:株式会社QCDプラス
事業内容:生産財の販売(工作機械・産業機械・産業用ロボット・3Dプリンターなど)
設立:1968年10月 資本金:6,000万円 売上:32億5,000万円

弊社は1968年の創業以来、ものづくりの現場に必要な機械・工具等の生産財を提供する専門商社です。中国・韓国での事業展開に続き、現在は経済発展が著しいミャンマーへの進出を検討しています。

3. 申請者の業務内容詳細
○○○氏には、日本とミャンマーの架け橋として通訳・翻訳業務を担当していただく予定です。現地企業との折衝・契約交渉など日本人では対応が困難な業務を中心に担当いただき、入社後3ヶ月は集中研修期間とし、当社製品知識と日本での業務環境に慣れていただいた後、本格的なミャンマー向け業務に従事いただく予定です。

4. 申請者の学歴・業務内容との関連性
申請者はミャンマー・ヤンゴン外国語大学日本語学科を卒業後、日本企業によるインフラ整備事業に関するプロジェクトで5年間、翻訳・通訳業務に従事しています。日本語能力検定試験N1を取得しており、日本・ミャンマー双方のビジネス慣習に精通した人材です。

5. 申請者雇用の理由
当社はミャンマー進出にあたり、インターネット経由で日本語通訳・翻訳者を国内外に募集しました。複数の応募者に対し筆記試験・1次面接・最終面接(社長)の選考を経て、○○○氏を採用することが当社の発展に最も有益と判断しました。25歳でありながら5年の実務経験を持ち、N1合格という高い日本語力を有する人材は、当社の事業展開に不可欠です。

上記の経緯をご賢察のうえ、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の許可を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

雇用理由書に必ず盛り込みたい内容

雇用理由書は、企業が「この外国人を採用することにきちんと理由がある」と説明するためのものです。
とくに、以下の5つのポイントは業種や職種に関係なく、どの雇用理由書にも共通して求められる内容といえるでしょう。

① 企業の基本情報や事業内容

どの業種に属し、どのような製品やサービスを扱っているかを具体的に書きましょう。

設立年や社員数といった基本的な情報に加え、過去に外国人を採用した経験がある場合は、その実績もあわせて記載すると効果的です。
企業としての信頼性や、外国人を受け入れる体制があることが伝わりやすくなります。

② 採用の背景

なぜ今、このタイミングで外国人材を必要としているのか、その理由をわかりやすく説明しましょう。

たとえば、日本人では対応が難しい仕事があるのか、語学力や異文化理解など外国人ならではの強みが求められているのか、具体的な背景があると納得感が高まります。

③ 採用者が担当する予定の業務内容

職種名だけでなく、どんな作業を担当する予定なのかを詳しく書いてください。
その仕事が会社の中でどんな役割を果たしているかにも触れておくと、全体像がつかみやすくなります。

また、その業務に対して採用者の学歴や職歴がどうつながっているかも補足しておくと、書類の説得力が一段と増します。

④ 企業側が用意している支援体制

日本語研修や業務マニュアルの整備状況、先輩社員によるサポートなど、受け入れ体制が整っていることを伝えましょう。こうした情報は、入国後の職場定着の可能性を判断する材料にもなります。

また、住まいや生活面のサポートについても、対応できる範囲で書いておくと審査官に安心感を与えることができます。

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【外国人本人向け】理由書の例文と書き方のポイント

外国人本人が作成する理由書は、入国や転職の理由、今後の目標を自分の言葉で伝えるものです。「この人なら安心して働いてもらえそうだ」と審査官に思ってもらえるよう、納得感のある内容を心がけましょう。

例文:入国(在留資格取得)理由書2026年○○月○○日

△△出入国在留管理局長 殿

入国理由書

氏名:○○○ 国籍:ミャンマー 生年月日:1994年○○月○○日

私はミャンマー・ヤンゴン出身の○○と申します。2014年にヤンゴン外国語大学日本語学科を卒業しました。卒業後は日本企業が進めるインフラ整備事業に関する日本語・ミャンマー語の翻訳・通訳業務を5年間担当し、日本とミャンマー双方のビジネス慣習を身をもって学んでまいりました。

日本語能力検定試験N1に合格し、日本国内での業務にも対応できると確信したころ、株式会社QCDプラスがミャンマー進出を見すえた翻訳・通訳者を募集しているのを知り応募しました。私がこれまで培った専門性をそのまま活かせる職務内容であり、同社の事業成長に貢献できると強く感じています。

入社後は同社の製品知識を深める研修期間を経て、ミャンマー向けの翻訳・通訳業務に従事する予定です。また、英語学習も継続しており、将来的にはより幅広い国際業務で貢献できるよう努力してまいります。以上の理由により、在留資格「技術・人文知識・国際業務」のご許可をお願い申し上げます。

理由書は3つのパートに分けて考えると書きやすい

理由書の3パート構成

  1. 自分の経歴・来日した理由:出身国・学歴・職歴・日本に来たきっかけを簡潔に
  2. その会社を選んだ理由・応募した動機:自分の専門分野や日本語力との関係を具体的に
  3. 今後の目標・日本で働く意欲:どう成長したいか、どう貢献したいかを前向きな言葉で

目安の長さはA4用紙1〜2枚です。長すぎると読みにくくなるため、要点を絞って書きましょう。母国語で書く場合は必ず日本語訳を添付してください。

理由書・雇用理由書を提出する前に見直しておきたいこと

書き上げたあとに見落としがないか、以下のチェックリストで必ず確認しましょう。

  • 入管が知りたい情報(採用の背景・雇用条件・今後の見通し)が過不足なく書かれているか
  • 申請する在留資格ごとの審査ポイントに合わせた内容になっているか
  • 雇用契約の内容・実際の業務を正確に理解したうえで記載しているか
  • 日本語で書く場合、文法・表現が自然でわかりやすいか
  • 「日本が好きだから」など、理由があいまいになっていないか
  • 転職・退職の経緯が必要な場合、きちんと記載されているか
  • 業務内容と申請者のスキル・学歴の関係性が明確に書かれているか
  • 理由書の内容と添付の証拠書類(雇用契約書・卒業証明書・決算書など)が一致しているか
  • A4用紙1〜2枚程度にまとまっているか(詰め込みすぎていないか)
よくあるNGパターン

  • 理由が「日本が好きだから」「給料がいいから」など感情的・抽象的すぎる
  • 業務内容と学歴・職歴のつながりが説明されていない
  • 雇用理由書と履歴書・雇用契約書の記載内容に矛盾がある
  • カテゴリー4の企業なのに会社の安定性に関する説明がない
  • 支援体制について一切触れられていない
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よくある質問(FAQ)

Q1. 理由書は任意提出とありますが、出さないと不許可になりますか?

法律上の義務はありませんが、提出しないことで不許可になるリスクは高まります。

理由書は審査官の疑問を事前に解消するための重要な補足資料です。とくに申請者の経歴と業務内容の関連性がわかりにくい場合や、企業規模が小さい場合は、丁寧に説明することが極めて重要です。

Q2. 「会社の安定性・継続性」はどのように証明すればよいですか?

以下の情報を雇用理由書に盛り込み、関連する証拠書類を添付することが効果的です。

  • 財務情報:直近の決算状況(売上高・利益)を記載し、黒字経営であることを示す
  • 事業の将来性:採用する外国人材の業務が会社の今後の事業計画にどう不可欠かを説明する
  • 経営体制:設立年数・資本金・主要取引先など企業規模を示す情報を記載する

証拠書類としては、決算書・登記簿謄本・納税証明書などの公的書類が有効です。

Q3. 外国人本人の理由書は日本語で書くべきですか?

入管に提出する書類は日本語で作成することが望ましいです。

とくに通訳・翻訳など日本語を使う業務に就く場合は、日本語で書くことが日本語能力の証明にもなります。
文法や表現が不自然だとマイナスに見られるおそれがあるため、短くわかりやすい文で論理的に構成することが大切です。母国語で書く場合は必ず日本語訳を添付してください。

Q4. 理由書は手書きでも大丈夫ですか?

手書きでも受理されますが、PCで作成したほうが読みやすく、内容の修正・再利用もしやすいため一般的にはPC作成が推奨されます。
日本語の読みやすいフォント(明朝体・ゴシック体)を使い、A4用紙に印刷して提出しましょう。

まとめ

理由書・雇用理由書は、申請書類だけでは伝わらない「採用の合理性」や「申請者の意思」を審査官に伝えるための重要な書類です。
法律上は任意ですが、実務上はほぼ必須と考えておくべきでしょう。

この記事のまとめ

  • 理由書は企業用(雇用理由書)と外国人本人用の2種類がある
  • 入管が特に重視するのは「業務と経歴の一致」「採用の合理的な理由」
  • カテゴリー3・4の中小企業ほど、理由書での丁寧な説明が重要
  • 証拠書類との整合性を必ず確認してから提出する
  • 外国人本人の理由書は「経歴→志望動機→今後の目標」の3パート構成で書くと伝わりやすい

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