【中国人採用】日本で就職する中国人の特徴と注意点!活躍人材を見抜くための10の秘訣
在留外国人のうち、中国人は全体の23%(約90万人)を占め、もっとも多い国籍です。中国人留学生の中にも「日本で就職したい」「日本企業で働きたい」と考える人が増えています。
しかし、日本の就職活動の進め方や情報収集の難しさから、希望する業界に進めず、中国へ帰国してしまう留学生も少なくありません。
採用に苦戦している企業こそ、中国人の特徴を正しく理解することで、こうしたタイミングのずれによる機会損失を防ぐことができます。
この記事では、中国人採用を検討している企業の人事担当者に向けて、中国人の特徴、雇用時の注意点、採用後のマネジメントまで、実務で役立つ情報を整理して紹介します。
目次
中国人は日本での就職活動に苦戦中?!
中国人が日本で就職するのが難しいのはなぜでしょう?
主な理由のひとつとして、中国人の働き方と日本人の求める働き方に大きな隔たりがあるからです。
就職活動の違い
日本と中国の就職活動の違いはどんなものでしょう? 代表的なものに以下の2点があります。
◎重視するポイント
日本では入社後の可能性を感じて採用するため、コミュニケーションや一般常識などOJTを活用していますが、中国では即戦力が優先採用条件であるため「仕事経験」が重要視されます。
また、中国人は「仕事よりプライベートを重視」「職場では対等な関係でいたい」「結果が同じなら手段を選ばない」など、チームワークを重視するより、むしろ個人スキルやスキルアップを重視します。
反対に日本人はチームワークを大切にし、序列を重んじ、正当な方法で確実に結果を出すことを大事にする傾向にあります。
◎インターンの存在
日本ではインターンで内定がもらえたり、一次試験の免除の優遇がある企業もありますが、中国では事情が違います。
人気分野を専攻していない学生は知識や経験がなく、働くうえでの強みを持っていないため、自分の能力を底上げするためにインターンを用いて仕事経験を積むことが一般的です。
それぞれの国で就職活動の違いがあるため、戸惑いを感じている中国人が多いです。
中国人が日本での就職を希望する背景
なぜおおくの中国人が日本での就職を選ぶのでしょうか。その背景には、中国国内の深刻な就職難と構造的な課題があります。
中国国内の就職競争が年々激化している
中国では毎年卒業者数が過去最高を更新する一方、景気低迷の影響で民間企業が採用をおさえ、求人数は減少が続いています。
卒業生の半数以上が内定を得られない年もあるなど、就職難は社会問題になっています。
出身地・学歴による構造的な不平等
- 農村部と都市部の戸籍制度により、大学進学の機会が出身地で大きく左右される
- 出身大学のランクによって入社後の給与が明確に差別化され、同じ企業でも一流大出身か二流大出身かで月給が異なるケースもある
- 地方大手でも、二流大卒の初任給は非常に低い水準にとどまることがおおい
こうした厳しい現実を背景に、向上心の高い中国人の若者が日本就職を選ぶ理由はおもに以下の3点です。
- 給与水準:中国の地方都市と比べて、日本の給与水準が相対的に高いです。
- キャリア形成:日本のビジネスノウハウや就労経験を、自分の「商品価値」の向上に活かせます。
- ポテンシャル採用:学歴や出身地よりも意欲や適性を重視する日本の採用スタイルが、実力ある人材に刺さっています。
企業側がこうした背景を理解していると、中国人材の採用や定着施策をより効果的に設計できるでしょう。
中国人が日本で就職できない原因は企業側にある?
日本では多くの企業が外国人雇用に積極的な姿勢をとっている一方、ほとんどの外国人は日本での就職に苦戦しています。
大きな原因のひとつに、日本企業が外国人のビジネススキルよりも日本語の理解能力に重点をおいている点があります。
多くの日本企業は日本語能力の高い中国人の雇用を考え、幅広いビジネス場面で日本語を理解することができる、日本語能力「N1レベル」を求めています。
しかし、このN1試験は難易度が非常に高く認定率は30%前後です。たとえN1を持っていなくても高い日本語能力を持つ中国人の方は多くいます。
企業側も資格として求める言語レベルを吟味しなおし、面接などでその能力を測るといいかもしれません。
どれくらいの中国人が日本企業に就職している?
就職を理由にして、日本に留学する外国人の数は増加しています。
新型コロナウイルスを原因として割合が減った年もありましたが、多くの中国人が卒業後には「日本で働く」という選択をしています。
令和元年では、11,580人の学生が就職で必要になる「在留資格変更許可申請」をしています。
大学側も増加する外国人留学生に対応するために専用の窓口を設置し、留学生専用のジョブフェアを開催して、留学生の就職を後押ししています。
▼中国についてもっと知りたい! 現地レポートはこちら
これらのレポートの中では、弊社でインターンをしている中国現地の大学に4年間留学した学生の目から見た、中国の労働問題などが収録されています。一次情報も豊富に入った内容になっているので、中国人採用を考えている方には一読をおすすめいたします。
参考「令和元年における留学生の日本企業等への就職状況について」
中国人採用の注意点・仕事の特徴

採用しても「戦力にならない」「仕事の効率が悪い」と感じる企業が多いのは、中国人を理解していないことが原因だと考えられます。
以下では、中国人の性格と仕事の上での特徴を解説します。
① 中国人はカタチよりも結果
やり方が多少雑であっても、結果が出せるなら手段は選ばないのが中国人の考え方です。
中国では他国よりも「お金を稼ぐこと」が成功の基準として強く浸透しています。
お金を稼ぐ際には効率を一番に求めています。開発費用と時間を十分にかけるより、「最小限の費用と時間で売れる商品を作りたい」と考える方も多いです。
それゆえにすでに売れているもの、市場でニーズがあるものを模倣するという考え方も一般的です。
「とにかく結果にこだわる国民性」であることを意識できるといいでしょう。
② 中国人は仕事上ではとても合理的
中国人には仕事を合理的に考えている人が多く「与えられた仕事を決められた時間に終わらせること」を重視します。
そのため、日本人の「残業は仕方がないことだ」という考え方に対しては理解が難しいようです。
自分のミッション以外のことも気にする日本人の常識は、中国人には通用しづらいでしょう。しかしお金を稼ぐという点だけを見れば、中国人の考え方は非常に合理的です。
中国人は利益につながらない行動は、基本的にムダと考える傾向があります。
③ 中国人はフラットな関係の方が好き
同じアジア人ですが、中国は日本や韓国と比べると、上司部下間の関係はフラットであることが多いようです。
率直に意見を言い合うことで良い関係を作ることができ、業務を円滑に進められる特徴があります。
現在ではどの企業でも世界規模で革新的なアイデアの創出が求められています。日本では上司の顔色を伺って新しいことが言い出しづらい文化がある中で、中国が経済力をつけてきたことにはこの比較的フラットな人間関係の文化が影響しているといえるかもしれません。
④ 自分のキャリアを商品として考える
中国人は、会社に属するというよりも、自分を一つの商品として捉え、能力を会社に売るという考え方をしています。
会社は取引相手であり、会社が人材を選ぶのと同じように、個人も会社を選ぶ権利があるという意識で生活しているのです。
そのため、転職はキャリアアップのための当然のステップとして受け止められ、帰属意識は日本人と比べて薄い傾向があります。
決断が早く、勤続年数にかかわらず離職する可能性もあるため、採用後の定着施策がとくに重要です。
⑤ 言語能力に偏りすぎた採用はイマイチ?
日本企業は学生の日本語が上手かどうかで採用を決める傾向があります。しかし日本語が上手だからといって、コミュニケーション能力もすぐれているかというとそうともいえません。
面接時に、もし日本語が得意ではない就活生がいたとしても、「笑顔が多い」「愛嬌がある」「事業に対して熱意がある」など語学以外の面も評価して採用を行えるといいでしょう。
採用後のマネジメントに関する注意点
採用して終わりではなく、その後のマネジメントが中国人の定着と活躍を左右します。
とくに重要な文化的背景として「面子(メンツ)」の概念を理解しておきましょう。
面子(メンツ)文化を理解する
中国人は「面子(メンツ)」を非常に重んじます。面子とは「他者からの評価や体裁」のことで、これを傷つけられることを強く嫌います。
マネジメントで最大の注意点は、ほかのスタッフがいる場で叱責しないことです。
たとえ明らかなミスであっても、複数人の前での指摘は深刻な信頼失墜につながり、最悪の場合は即時退職にいたるケースもあります。
叱るときは必ず1対1の場で、問題点と改善方法を明確にし、わかりやすく伝えることが重要です。
日本式の「空気を読んで気づいてほしい」という暗黙の期待は通じません。何が問題で、どう改善すればいいかを具体的に言語化して伝えましょう。
褒めて伸ばす
面子文化の裏返しとして、人前で褒めることは大きなモチベーションにつながります。
よい仕事をしたときには、言葉にして積極的に褒めることが大切です。日常的にいいところを見つけて声に出すことで、関係性もよくなります。
企業として表彰制度(MVPや月間優秀社員など)を取り入れることも効果的です。
中国人材の活躍を可視化し、組織全体のエンゲージメント向上にもつながっています。
早期離職を防ぐための3つのポイント
中国人は「会社への帰属意識」よりも「自分のキャリアへの投資」を優先する傾向があります。
そのため、早期離職リスクを下げるには以下の3点を意識するとよいでしょう。
① 給与・福利厚生の明確化
中国人が仕事を選ぶ基準のトップは給与条件です。
あいまいな昇給や評価制度は不満の温床になります。採用時に昇給のルールや評価基準を明示しておきましょう。
② 上司との関係構築
フラットで率直なコミュニケーションを好む中国人材には、上司が積極的に声をかけ、意見を聞く姿勢が大切です。
一方的な指示や管理型のマネジメントは、離職率を高める可能性がありますので注意しましょう。
③ キャリアパスの提示
「この会社でどう成長できるか」を具体的に示せる企業は、長期在籍につながります。
社内異動や昇格の機会、スキルアップ支援制度があると、定着の可能性が高まります。
中国人採用のメリット

中国人企業・顧客に強くなる
中国は「世界の工場」と呼ばれるほど、世界中が中国に工場を設けています。
また、飲食・アパレル・観光業などあらゆる分野で現在中国の企業は注目されており、取引する機会が増えることが予測されるでしょう。
観光客としても多くの中国人が訪れる中、言語や文化の面で架け橋となる中国人は貴重な人材であると言えます。
若い人材の確保
日本に住む中国人はほとんどが留学生で、彼らの多くは日本での就職を希望しています。
理由として、母国よりも給与が高いことやキャリアの一環として日本のビジネススタイルを学びたいことがあるようです。
日本では少子化による深刻な人手不足がある今、中国人に注目することは若い人材を確保するチャンスであると言えます。
外国人から見た魅力的な日本企業の条件について解説した記事もぜひご覧ください。
社内に新しい風をもたらす
日本とは異なる仕事への考え方や姿勢、異文化コミュニケーションが社内の雰囲気に変化をもたらします。それは日本人社員の意識改革につながる可能性もあります。
また、日本人とは違った発想やアイデアが生まれることも期待できます。
フラットに意見を言い合う文化が加わることで、組織の心理的安全性の向上にもつながるでしょう。
採用後の届け出方法は?
企業は就職活動で訪れた中国人を採用した場合、「氏名」や「在留資格」などをハローワークに対して届け出をしなければいけません。
採用した中国人が雇用保険の対象になる場合は「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する必要があります。
このときに喪失届の備考欄に「在留資格」「在留期限」「国籍」を記入してから、提出してください。

画像引用 【図解】これだけでOK!雇用保険の被保険者資格取得届の記入例と書き方
もし雇用保険対象外の場合には、雇用開始、離職の翌月末日までにハローワークに「外国人雇用状況書」を提出しなければいけません。
また添付書類には、「在留カードかパスポート」「資格外活動許可証か就労資格証明書」が必要となります。
外国人雇用で活用できる助成金
中国人をはじめとする外国人を雇用する際には、日本語教育や職業訓練などにかかる経費に対して活用できる助成金があります。
代表的なものとして「人材開発支援助成金」や「キャリアアップ助成金」などがあり、要件を満たせば一定額の補助を受けることが可能です。
助成金の種類や金額、申請要件は年度によって変わります。そのため、最新情報は以下をご参照ください。
中国人採用に関するよくある質問 【Q&A】
Q1. 中国人留学生を新卒で採用するにはどうすればいいですか?
中国人留学生の採用では、日本の新卒採用とは異なるアプローチが必要な場合があります。
- 専門性を評価する:中国ではポテンシャルよりも、インターン経験などで培ったスキルや専門性を評価する傾向があります。
- 情報発信を工夫する:留学生は外国人向けの求人媒体やWeChatなどの中国系SNSから情報を集めています。これらのチャネルでの発信が重要です。
- 在留資格手続きを支援する:採用が決まったら、卒業後のビザ変更申請(「留学」→「技術・人文知識・国際業務」など)に必要な企業側書類の作成を迅速にサポートすることが必須です。
Q2. 中国人材の日本語力は高いですか?
一般的に、中国人材の日本語力は高い水準にあります。しかし、実務では注意が必要です。
- 資格レベルの高さ:日本での就職を希望する層は、日本語能力試験(JLPT)のN1・N2といった高いレベルの資格を持っていることがおおいです。漢字圏出身のため、読み書きにも強みがあります。
- 実務での課題:資格があっても、日本特有のあいまいな表現を含むビジネス会話の理解には時間がかかることがあります。
- 評価のポイント:資格の点数だけでなく、面接で業務シーンを想定したロールプレイを行うなど、実用レベルの会話能力を測ることが重要です。
Q3. 中国人は離職しやすいと聞きますが、定着させるコツはありますか?
中国人が重視するのは「給与・福利厚生・上司との関係」の3点です。
入社前に昇給や評価ルールを明確に伝え、入社後は上司が積極的にコミュニケーションをとる環境を整えることが、定着率向上の鍵になります。キャリアパスを具体的に示せる会社は長期在籍につながるでしょう。
まとめ
今回は、中国人の性格や国民性・仕事上の特徴・採用後のマネジメントについて解説しました。
ポイントを整理すると以下のとおりです。
- 中国人材は結果・合理性・フラットな関係を重視する
- 「面子」文化を理解し、褒め方・叱り方に気をつける
- 早期離職を防ぐには「給与・上司関係・キャリアパス」の3点が鍵
- 採用時は日本語力だけでなく、意欲や専門性も総合的に評価する
- 採用後はハローワークへの届出を忘れずに(怠ると罰則あり)
中国人採用では、無理やり日本のやり方を押し付けるのではなく、お互いの文化を尊重しながら協力することが大切です。相互理解を前提に進めることが、安定した活躍につながります。

